特集-PFI_桑名市

	プライベート・ファイナンス・イニシアチブ

　PFIってな～に。最近、建設業界ではISOやCALS／ECなど、やたらと横文字が氾濫して、何が何だかわからない感じです。PFI（プライベート・ファイナンス・イニシアチブ）。一言でいえば、公共施設などの設計・建設、維持管理及び運営に民間の資金やノウハウを活用し、行政サービスの提供を民間主導で行う、ということです。
　もう少し言い換えると、税収不足に悩む各自治体が、大型公共施設などを建設すると、単年度に支払いが集中してしまい、にっちもさっちも行きません。税収が順調なときはいいのですが、ここ最近の厳しさの中では、そうはいきません。そこで、民間事業者に事業や運営を長期間依頼し、支払いはその間に均等で払っていき、コストダウンと民間の持つノウハウを活かそうということです。平成11年にPFI法が成立し、民間活力を活かす手法として、急きょ全国に広がりました。
　ここ静岡県でも、税収不足に悩む県、市町村がPFIの導入に向け、調査を進めています。県が浜松市内に建設する「西遠地区新設高校」でPFIを取り入れることを決定したのをはじめ、浜松市でも、新清掃工場・新水泳場の建設について「導入は可能」という調査結果を受けて、前向きな姿勢を見せています。熱海市、三島市では、新庁舎の建設、長泉町では一般廃棄物処理場建設のために導入調査などが進められています。ここ袋井土木管内では、民間資本を活用した残土処理場構想が動き出しています。
　ますます厳しくなる公共事業の中で、PFI事業を利用した建設工事が多くなることは間違いありません。これまでは、資金や事業ノウハウで大手ゼネコン向けと考えられていましたが小・中学校、幼稚園、給食センターなど地元に関連した事業が、PFIによって建設されてきています。地元業者にとってみても、早く勉強し少しでもノウハウを取り入れていくことが大切です。

桑名市で図書館等複合施設について説明を受ける

　桑名市での実施例は「桑名市図書館等複合公共施設特定事業」です。施設の中には、図書館をはじめ、保健センター、勤労青少年ホームの3施設に多目的ホールが入る予定です。すでに事業者も決まり新会社の契約も終え、着工を待つばかりです。
　応対していただいたのは、桑名市教育委員会生涯学習課の大塚由良美さん、議会事務局主幹の山岸洋市さん、市長公室PFI推進係長の山岸一幸さんの3名です。いずれも図書館建設計画当初から、現場の第一線でPFIに携わってきた方達ばかりです。
　図書館での導入は、全国でもはじめての試みということで、これまでの事業者決定までに多くの壁があったということです。特に乗り越えなければならないというのは、事業推進にあたっての「法律の壁」だったようです。図書館だけでなく、他の施設との複合となるため、クリアーしなければならないことは多かったようです。導入までの経緯を伺うと、市の「新・桑名市行政改革大綱」の中で、PFI手法を行財政改革として位置付け、時の大型事業であった図書館移転での採用を、となったということです。半年かけ調査をし、13年6月に実施方針などを公表し、14年4月に鹿島グループを選出しました。全国、東海地区でも初めてのケースだけに、マスコミ、官庁関係者だけでなく、商社、大手ゼネコンなどから問い合わせが多く寄せられ、6グループが事業計画書を提出しました。

　参加者は鹿島、前田建設、大林のゼネコンを代表者にした3グループ、伊藤忠商事、住友商事、三菱商事の商社３グループでした。鹿島グループが出した最低価格の116億3,998万円は、市が直接実施する場合に比べ22％強、約21億5千万程度節約できるという金額でした。
　鹿島グループには、佐藤総合計画、図書館流通センター、セントラルリース、鹿島建物総合管理、積村ビル管理、三重電子計算センターがメンバーに入っています。
　このメンバーで、事業主体である『桑名メディアライブ』が設立され、昨年6月、契約が締結されました。
　事業者決定まで振り返って、図書館でのPFIは全国初めてとあって、まず何から手をつけていいか分からなかった。特に「図書館法」という法律があり、施設整備、維持管理、運営での展開において、何かにつけてハードルとなったとのこと。また、多目的ホールなどを備えた複合施設ということもあり、異なったものをどう整合性をもたらすか、という点だったといいます。公共施設の運営を民間に任せるということで、資金や運営上の「リスク」をどう整理し、契約にうたうか、官庁の一番苦手とする金融上の問題点など、専門のコンサル、弁護士に立ち会いをお願いし、ようやく契約にこぎつけたとの事です。

着工を待つばかりの桑名市図書館等複合公共施設の建設地

　広報委員会では、PFIの先進地といわれる三重県桑名市、四日市市を訪問、PFIを現場で指揮する各担当者の方から説明を受けました。いずれもはじめての試みということで、「生みの苦しみ」をいろいろ拝聴することが出来ました。

　ポイントは、すでに事業者を決定し、着工を待つばかりという桑名市での図書館施設建設での事業者決定方法、四日市市では、小・中学校という地元にとって非常に身近な施設での導入が決定された経緯―などを伺うことでした。

桑名市ホームページ　http://www.city.kuwana.mie.jp/

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