●建設業者への未来の声●
今建設業界は、公共工事減少に伴い大変厳しい情勢が続いておりますが、その中でも我々は生き残っていかなくていけません。
では、どうすれば良いかが一番の問題になってきます。そこで、これからのニーズを考えてみると、３０年後には、日本人口の約３０％は６５歳以上となる推計が出ています。いわゆる高齢社会が、すぐそこまできているのは皆さんご存知だと思います。
▼総人口、年齢3区分（0～14歳、15～64歳、65歳以上）別人口および年齢構造係数：中位推計
| 年次 |
人口（1,000人） |
割合（％） |
| 総数 |
0～14歳 |
15～64歳 |
65歳以上 |
0～14歳 |
15～64歳 |
65歳以上 |
| 平成12年 |
（2000） |
126,926 |
18,505 |
86,380 |
22,041 |
14.6 |
68.1 |
17.4 |
| 17年 |
（2005） |
127,708 |
17,727 |
84,590 |
25,392 |
13.9 |
66.2 |
19.9 |
| 22年 |
（2010） |
127,473 |
17,074 |
81,665 |
28,735 |
13.4 |
64.1 |
22.5 |
| 27年 |
（2015） |
126,266 |
16,197 |
77,296 |
32,772 |
12.8 |
61.2 |
26.0 |
| 32年 |
（2020） |
124,107 |
15,095 |
74,453 |
34,559 |
12.2 |
60.0 |
27.8 |
| 37年 |
（2025） |
121,136 |
14,085 |
72,325 |
34,726 |
11.6 |
59.7 |
28.7 |
| 42年 |
（2030） |
117,580 |
13,233 |
69,576 |
34,770 |
11.3 |
59.2 |
29.6 |
| 47年 |
（2035） |
113,602 |
12,567 |
65,891 |
35,145 |
11.1 |
58.0 |
30.9 |
| 50年 |
（2038） |
111,068 |
12,233 |
62,928 |
35,908 |
11.0 |
56.7 |
32.3 |
各年10月1日現在人口。平成12（2000）年は、総務省統計局『国勢調査報告』
（年齢「不詳人口」を接分補正した）人口による。
これからの高齢社会を見据え、「どんな人にも利用（対応）できる」という観点が必要になってきます。ここで出てくる用語が、「バリアフリー」又は「ユニバーサルデザイン」という言葉です。
バリアフリーとは
……障害がある人が社会生活をしていく上で障害（バリア）となるものを除去すること。
段差解消などハード面（施設）の色彩が強いが、広義には障害者の社会参加を困難にする障害の除去（ソフト面の思いやり、気持ち）を含む （総理府「障害者白書」より）
ユニバーサルデザインとは
……改善または特殊化された設計なしで、最大限可能な限り、全ての人々に利用しやすい環境と製品のデザイン （ロン・メイス） |
高齢者と一言でいっても、元気で健康な方もいれば、自分の事はある程度できるが身体に不自由な箇所がある方（足、手、目etc）、寝たきりで誰かの介助が必要な方と様々です。高齢者だけではなく、若年者、中高年者の方でも障害をもった方はいます。健常者だけでなく、すべての人が利用し易い環境を各市町村もこれから整える方向性になっていくのではないでしょうか。
| では、どのようなものがバリアフリーやユニバーサルデザインになるのでしょうか。 |
例えば土木工事の内容（街づくり）で考えてみると、
◎安全性として
・ 凸凹のない路面
・ 滑りにくいマンホールの蓋
・ 車椅子の車輪や杖が落ち込まない側溝
・ コントラストのはっきりした誘導ブロック
 ◎快適性として
・ 有効幅員が確保された歩道
・ 白杖の先のセンサーだけに反応する盲人用信号や誘導ブロック
・ 誰でもアクセスできる公園
・ ひと休みできる街中のベンチ
◎連続性として
・ 連続して解消された路面の段差と凸凹
・ 連続して確保された歩道の幅員
・ 連続して整備された誘導システム（誘導ブロックや盲人用信号など）
→ 一ヵ所だけ誘導システムを整備していても、移動の際はそこだけを使うわけではない
◎経済性として
・ 全ての道路を短期間のうちに高水準にすることは、経済的に困難である。
したがって高齢者や障害者によく利用される施設と駅・バス停を結ぶ道路から順に整備
していくと効率的だ。
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| 段差のある歩道についての実習 |
☆バリアがあるものとして・・・
① 電柱が邪魔をしている歩道
② 歩道の真ん中に立つ電柱
③ 凸凹の激しい路面
④ 波打った歩道
⑤ 砂利道の中のマンホール
⑥ 滑りやすいマンホール
⑦ 穴の大きな側溝
⑧ コントラストのない誘導ブロック
⑨ 迷ってしまうほどバラバラな誘導ブロックｅｔｃ |
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穴の大きなグレーチングについて
（注意事項の様子） |
☆どのようなものがバリアのないものなのか・・・
① 車道より広い歩道
② 歩道の邪魔にならない郵便ポストの設置
③ ラバー状に舗装された歩道
④ 動く歩道
⑤ 歩道と車道との段差が解消されているもの
⑥ 穴の小さな側溝
⑦ 車椅子でも使える水飲み場ｅｔｃ |
このように健常者の方にとっては、あたりまえのような光景ですが、高齢者又は障害者の方にとってはどうしても使い勝手の悪いものになってしまいます。特に市街地は、様々な人が行き来するため、再開発事業などに対してもっとバリアフリーやユニバーサルデザインを導入していくことが必要ではないでしょうか。
でもここで、気を付けなければいけない点があります。バリアフリーやユニバーサルデザインについて、発注者（官庁）と受注者（建設業者）だけではいけないと思います。健常者のみの話では、本当のバリアフリーやユニバーサルデザインになるのでしょうか。これからの社会に対し、発注者と受注者はもちろんの事、第三者（高齢者団体や障害者団体など）を交え、話し合いの時間を持ち、皆が利用できるものが求められるのではないでしょうか。
これからの私達建設業者は、バリアフリーやユニバーサルデザインに対し、正しい知識を持ち、提案・企画をできる力が必要ではないでしょうか。また今後、地域社会が求める建設業者はこういったことができる業者ではないかと思います。
 
段差のある歩道（消火栓があるため） 穴の大きなグレーチング・幅員が狭い歩道
車椅子対応のエレベーター（地上から地下道へ）
 
車椅子対応のエレベーター（地下道から地上へ）表 車椅子対応のエレベーター（地下道から地上へ）裏
 
段差のない歩道 地下道のスロープ
 
はっきりとした点字ブロック 穴の小さなグレーチング
 
誰でも休むことができる椅子
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