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つちおと第102号
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アスベスト(石綿)の被害が広がって、今や社会問題化している。
そこで今回は石綿の基礎知識、被害状況、対策などを簡単に解りやすくまとめてみましたのでぜひ参考にしてください。




 石綿(いしわた、せきめん)は、天然の鉱物繊維(主成分は珪酸マグネシウム塩)です。石綿の繊維一本の細さは、だいたい髪の毛の5000分の1程度の細さである。英語名はアスベスト。
 耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非常に優れ安価であるため、建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等、様々な用途に広く使用されてきた。

石綿の種類

 ・クリソタイル(白石綿、温石綿)
   クリソタイルから作られる石綿を温石綿と呼ぶ。2004年10月、使用が禁止される。
   しかし、一部の用途に限っては、2006年までその使用は認められている。
   2008年までには全面禁止される予定。

 ・クロシドライト(青石綿)
   1995年より使用も製造も禁止。

 ・アモサイト(茶石綿)
   1995年より使用も製造も禁止。


 

 石綿の用途は3,000種と言われるほどに多いのですが、大きくは石綿工業製品と建材製品に分けられ、約20万トン(平成6年)使われており、その約9割は建材製品です。

 昭和30年頃から使われ始め、ビルの高層化や鉄骨構造化にともない、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として昭和40年代の高度成長期に多く使用されています。


石綿はこんな所に使われていました・・・

 ●建材関係(全体の9割以上)
  ・建築物等の吸音、断熱材として使用(吹き付けアスベスト)
  ・壁材(石膏板、天井用化粧板)
  ・屋根材(屋根瓦、屋根用波板)
  ・外装材・内装材など
  ・石綿塗料

 ●建材以外
  ・造船・船舶(船舶内の断熱材・・・吹き付けアスベスト)
  ・自動車や鉄道車両のブレーキパッド、クラッチ板
  ・ガスケット、シーリング材、パッキング
  ・電線の被覆材、機械・器具の断熱材、ボイラー断熱材
  ・絶縁材料
  ・作業靴、消防士の断熱服、ボール紙など


参考として図表に、吹付け石綿の商品名の例、石綿を含有する吹付けロックウールの商品名の例を示します。図表中の石綿含有吹付けロックウールの商品名は、石綿を全く含まない現在においても、同一の商品名で製造されているため、分析調査を行い判断する必要があります。

図表 吹付け石綿の商品名(例)
@ブロベスト Aオパベスト BサーモテックスA Cトムレックス Dリンペット Eノザワコーベックス Fヘイワレックス Gスターレックス H防湿モルベスト
(注):@〜Gは通則認定、Hは個別認定

図表 石綿を含有する吹付けロックウールの商品名(例)
@スプレーテックス Aスプレーエース Bスプレイクラフト Cサーモテックス DブロベストR EノザワコーベックスーR Fアサノスプレーコート Gバルカロック Hヘイワレックス IオパベストR JベリーコートR Kタイカレックス Lニッカウール(昭和62年12月耐火構造としての大臣指定取り消し) M浅野ダイアブロック(昭和50年10月耐火構造としての大臣指定取り消し) NスターレックスーR(昭和57年7月耐火構造としての大臣指定取り消し) Oトムウェット Pアサノスプレーコートウェット Qサンウェット R吹付けロックンライト
(注):昭和55年以降に生産された製品には、石綿は含有されていない。@〜Nは通則認定、O〜Rは個別認定

吹付け石綿施工部位事例(耐火被震材・柱・梁)
  石綿の分散色写真

n=1,680

石綿の分析機関(静岡県近隣)
名称
郵便番号
所在地
電話
FAX
(社)静岡県産業環境センター
435-0042
静岡県浜松市篠ヶ瀬町987番地
053-463-3420
053-465-2748
東芝機械環境センター(株)
410-8510
静岡県沼津市大岡2068-3
0559-26-5169
 
(財)東海技術センター
465-0021
愛知県名古屋市名東区猪子石2-7-10
052-771-5161
052-771-5164
東亜環境サービス(株)
457-0049
愛知県名古屋市南区北内町1丁目22番地
052-822-9654
 


◎飛散を防止するために、法律でも対策がとられています。
  勝手に解体したり、投棄してはいけません。


 吹付け石綿が使用されている建築物は、昭和30年頃から昭和55年頃までに建築された建築物の一部で、それらが築後30年を経過し建替えによる解体が増えると見込まれています。所要の措置を施さずに解体すると石綿が飛散するおそれがあるため、対策が必要となります。




 下図に示すような要件に該当する場合、解体事業者は作業の場所、作業期間、作業の方法などを都道府県知事へ届け出ることが必要になりました。解体作業にあたっては、吹付け石綿を除去する場所を隔離したり、集じん・排気装置を設置したりするなど、作業基準を遵守することが求められ、違反した場合は処罰の対象となります。
 また、「労働安全衛生法」、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」においても作業基準等が定められています。こうした措置を講ずることによって、周辺環境への飛散防止が図られます。


◎なぜアスベスト(石綿)が危険なのか?(石綿による病気)

 石綿は、丈夫で変化しにくいため、吸い込んで肺の中に入ると組織に刺さり、15〜40年の潜伏期間を経て、肺がん、悪性中皮腫(悪性の腫瘍)などの病気を引き起こすおそれがあります。目に見えないくらい細い繊維のために、気づかないうちに吸い込んでしまう可能性があります。


石綿によって起こる病気とその部位
(出典:せきめん読本(平成8年3月))

 石綿に関連する疾患


  ・石綿肺
  ・良性石綿胸水
  ・胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)
  ・肺癌
  ・悪性中皮腫

石綿肺

  • 石綿吸入によるじん肺です。
  • 肺に吸入された石綿に対する生体の反応の結果、肺に「線維化」が生じて、肺が硬くなる病気です。
  • 高濃度の石綿曝露によってのみ生じます。
  • 主症状は空咳と息切れです。進行性です。
  • 石綿吸入歴を知らないと他の「間質性肺炎」と見分けがつかないことがあります。

良性石綿胸水

  • 石綿を吸入したひとに発生する良性の胸水です。
  • 胸痛や息切れがあることが多いが無症状のこともあります。
  • 数ヶ月(1〜10ヶ月)で自然に軽快することが多いが、長びくことも再発することもあります。
  • 胸水に特別な特徴はないので、結核などの他の原因が見つからないことが診断の第一です。
    さらに「胸水が始まった後、3年間癌が見つからない」ことが診断の条件なので、すぐには診断できません。

胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)の1

  • 石綿を吸入してから15年〜30年を経て、ところどころの胸膜(肋膜)が厚くなる疾患です。
  • 20年以上たつと厚くなった胸膜が石灰化してレントゲンで目立つことが多いので、石綿曝露の指標として重要です。
  • 石綿肺を起すほどではない、少量の石綿曝露でも発生します。
 
胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)の2

  • 胸膜肥厚斑はふつう症状を伴わないので、これだけに留まれば予後は良好です。
    しかし、胸膜肥厚斑があるひとは肺癌と悪性中皮腫の発生率が高いので注意が必要です。
  • 胸膜肥厚斑は検診などでしばしば発見され、決して稀ではありません。 しかも、ご自身が石綿を吸入したことを自覚していないことが多いのです。

肺癌

  • 石綿を多量に長く吸入すると、曝露後10年以上で肺癌が発生しやすいことが知られています。
  • 石綿吸入と喫煙の組み合わせはさらに肺癌を増やします。
  • 石綿による肺癌は、それ自体他の肺癌と比べて特に変わりありませんので、石綿吸入歴や石綿肺、胸膜肥厚斑がないと、石綿との関連がわからないことがあります。

悪性中皮腫(1)

  • 胸膜や腹膜に発生する悪性腫瘍、つまり広い意味での「がん」です。
  • 悪性中皮腫の80%は石綿曝露と関係するといわれています。
  • 石綿の吸入開始後、十数年から五十数年(平均40年)を経て発病します。
  • 石綿肺や石綿肺癌と比べ、少量の石綿曝露でも発症します。

悪性中皮腫(2)

  • 胸膜(肋膜)に発生すれば、胸膜中皮腫です。症状は胸痛と息切れです。
  • 腹膜に発生すれば、腹膜中皮腫です。症状は腹部膨満と腹痛です。

吸入された石綿自体はレントゲンに写りません

吸入された石綿自体は症状を起こしません




アスベストを吸い込んだかどうかはどのような検査でわかるのか?
胸部X線写真でアスベストを吸い込んでいた可能性を示唆する所見が見られる場合もありますが、アスベストを吸い込んだ方全てに胸部X線写真の所見があるとは限りません。ご心配な方は近隣の労災病院等の専門医療機関にご相談ください。


吸い込んだアスベストは除去できるか?
一旦吸い込んだアスベストの一部は異物として痰のなかに混ざり、体外に排出されますが、大量のアスベストを吸い込んだ場合や大きなアスベストは除去されずに肺内に蓄積されると言われています。


建築物(事務所、店舗、倉庫等)に吹き付けアスベストが使用されている場合においては、どうしたらよいか。
石綿障害予防規則において、吹き付けられたアスベストが劣化等により粉じんを発散させ、労働者がその粉じんに暴露するおそれがあるときは、除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないこととされています。
石綿障害予防規則等、関係法令に従って適切に対処してください。


医師に中皮腫と診断されましたが、どこで石綿を扱ったかわかりません。
この場合でも、労災認定を受けられるのでしょうか。

石綿を取り扱った場所がよくわからない場合でも、最寄りの労働基準監督署にご相談ください。監督署において、詳しくお話を伺い、必要な調査を行います。
その結果、中皮腫が仕事が原因であると認められれば、労災認定が受けられます。


既に退職していますが、在職中は石綿を取り扱う作業に従事していました。中皮腫や肺がんを発症した場合、退職後でも労災認定は受けられるのでしょうか。
労災保険給付を受ける権利は、退職しても変更されません。したがって、退職された後であっても、労災認定を受けることができますので、労働基準監督署にご相談ください。


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